SSブログ

好きな漫画のこと「カルバニア物語」 [まんが]

 私の友人、知人、インターネットフレンズの方々の多くは「漫画や小説をたくさん読むことに抵抗のない思慮深い女性」です。まぁね。仲良くしたい人の方向性というのは一定なので、自然とそういう人と仲良くなるよね。

 それでですね。私は「そういう人は全員がカルバニア物語を読んでいる」と思い込んでいました。自然に。読んでて当たり前くらいの気持ちだった。「動物のお医者さん」レベルで定番中の定番だと思っていた。

 しかしながらごくごく最近、お友達が複数(それぞれの接点はない)、カルバニア物語を読み始めたのを見かけたのです。読み返しではなく初読で。

 とっくに読んでると思っていた人々が……そうではなかった……と衝撃を受けました。

 全員読んでるから私がオススメしたところで無駄だと思っていた「カルバニア物語」、実は推す必要があったものでは? とようやく気づいたため、今回推します。


karubania.PNG


 では基本情報から。「カルバニア物語」 TONO著。徳間書店キャラコミックスで18巻まで出ています。隔月刊漫画雑誌「Chara」にて連載中。(2019年4月現在)

 掲載誌Charaは、BL漫画雑誌です。ですが、カルバニア物語がスタートしたのは25年ほど前。その頃のCharaは、素敵な男性キャラ多めのちょっぴりお姉さん向け少女漫画雑誌でした。BLも載ってたけど、銀河英雄伝説とかANIMAL Xとか連載されてた。懐かしいな。時代の流れでいつしかバリバリのBL雑誌になったため、最近Charaを読み始めた人はカルバニア物語がなぜここに含まれてるのか不思議に思っているかもしれない。しかし。掲載誌のカラーが変わろうとも、ちょっぴり浮こうとも、多くの人々に望まれた結果そこにあるのが「カルバニア物語」なのです。

(色々な事情によりBLレーベル単行本として出版されてるため、少女漫画だけど書店でのカテゴリがBLになってるよ、探すときは気をつけてね、という注意を書こうとしたら壮大になりました)

 25年たってますが、多分まだ1巻から紙で揃えることは出来る……はず。電子単行本は紙と同時に出るので電子もオススメです。


 では内容について。カルバニアという長く続いた王国の貴族の子女エキュー(あばれんぼうで傍若無人で女子にモッテモテ)、そしてエキューの乳姉妹であり若くして王国初の女王となったタニア(キュートで元気なDカップ)が主人公。架空の昔の西洋風王国が舞台ですが、魔法や幻獣は出ません。(幽霊は出る)

 ふんわりとした可愛い絵柄で、進行はコミカル。エピソードは1~数話完結で読みやすいです。でも軽く見せかけて芯の部分やテーマがズドンと重いため、読み口はライトなのに何年たっても忘れられないエピソードとかあったりします。登場人物の成長や時間経過があるので、1巻から順番に読みましょう。

 歴史ある王国に初めて女王が立ち、長らく男性が動かしていた世界で少しずつ女性が人間らしく生きはじめようとする、そんな時代。まだまだ貴族の娘は基本的に、家のため美しくしとやかにおとなしく頭悪く生きることを強いられる圧力フルパワーです。

 そのね……女性にかかる圧力が、現代日本の会社組織や、現代日本のちょっと古くさい地域やご家庭そのものなのですよ。さらには、愛情が足りずに宗教に走る母親とか、ネグレクトされた子どもとか、過剰な期待を受け捻れて育った若者とか、ファンタジーな皮を被りつつ中身は現代の闇なので、なまなましく感じる部分も多いです。今現在、理不尽な圧力に苦しんでる人に読んで頂きたい。共感と、登場人物のパワーとで癒やされてほしい。

 エキューもタニアも、立場も性格もやり方も違うけど、やるときはガバっとやり返す子なので爽快感があります。重たい話もつらい話もエグい話もあるけれど、最後はどれも救いがあったり華やいだりするので、読後感は悪くないはず。大丈夫です。

 あと、ページ抜粋がTwitterでバズってたことがありますが、生理の話も多いです。タニアとエキューで重さのタイプが違いつつ、仕事の都合やいまいち理解のない男性などを絡めて描くことで、女性の生理をどう扱うのがよい社会なのかを考えさせてくれます。これらは男性にも読んで欲しいやつなので、もしこのブログ男性も見てたらぜひとも。


 絵柄がかわいらしいのに加えて、この作品は女性のドレスが個性的でとても魅力的です。エキューが少年体型(おむねがまったくない……)、タニアがボンキュッボン、どちらのドレスもすっごい二人に似合っていてかわいい。毎回違うドレスだし、ドレスそのものがストーリーの鍵になったりもするし、そこも見どころです。

 あとね……これどう伝えていいか悩むけど、エキューもタニアもその他のキャラクターも、皆すっごい好き!!!!って笑顔になっちゃう感じなのですわ。キュートでふてぶてしくてぷりんぷりんに生きている人が多い。隣にいたら巻き込まれてたいへんそうだけど、斜向かいくらいにいてほしい。パワーがあってそれぞれの正しさがあって、読めばきっとだいすきな人物が複数名できるはず。私はミーハーなのでエキューのパパが好き。すてき。かっこいい。最高。


 カルバニア物語は、フェミニズム理解の入門的な読み方も出来るくらい、女性が男性優位社会で自分らしく生きる難しさを様々な角度から描いています。それと同時に、男性が男性らしくあれと強いられる苦しさも、母親、父親、娘、息子、上司、部下、様々な立場の苦しみも描き、そして彼らが自分らしく生きる様子を愛をもって綴ってある……とかいうと説教臭い感じと誤解されそうだけど、全然そんなことないというのも魅力なのですよ。ライトでアッパッパーな部分もだいぶあるのでバランスが良いのです。

 作者のTONO先生のツイッターをいつも拝見してるのですが、「Aという意見を見てなるほどと思っても、それに反するBという意見にもなるほどと思ったりする」とおっしゃってたことがありました。それを見て私は「私もそうなんだよなー流されやすいんだよー」と思ったのですが、TONO先生の場合は流されるというよりも、両方の立場に立って考えてそれぞれを尊重する、フラットな視線をお持ちなんだろうなーと。思います。作品がそうなので。

 自分のつらさを癒やす栄養をもらえる、そして他人のつらさに気づく機会をもらえる、そんな漫画だと思うのでぜひ全員読みましょう。刊行ペースはゆっくりなので、追いかけるのも難しくないです。読もう。全員買おう。




 ちなみに私がいつまでも忘れられないのは「シルヴァーナのつまさき」。ハイヒール履いててつらいときは必ず彼女のことを思い出します。いや私には守るべきプライドとかないんですけどね。でもあの子を思い出すとがんばれる気がするのでね。(そしてシルヴァーナの侍女がめっちゃシルヴァーナだいすきなのがすごい好き)

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。