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好きな漫画のこと「彼方のアストラ」 [まんが]

 オススメしたいけどどう紹介したらいいかが難しいなぁ、まぁ面白い面白いってたくさんの人が言いまくってるから気になる人はもうすでに読んでるよなぁ、と思っていた「彼方のアストラ」。

 昨日アニメ化決定が発表されたので、ここらで重い腰を上げてちゃんとオススメしてみようかな……と思います。うーん難しいぞ。でもこれは間違ってネタバレを見てしまうともったいない! と既読者なら言うタイプのあれですので、ネタバレなしで今回書こうと思います。うーん難しいぞ(2度め)(本当に難しい)。



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 では基本情報を。「彼方のアストラ」篠原健太著、全5巻完結。集英社ジャンプコミックス+刊。ジャンプ+連載作品でした。ぴったりキレイに5巻で終わります。買いやすいね!

 ギャグ多めのコメディであり、胸躍るわくわくSF冒険譚であり、古典きゅんきゅん青春ものであり、実は全編伏線なミステリであり、策謀渦巻くサスペンスでもあります。ものすごく面白いのですが、内容の性質上詳しく面白さを語ろうとするとネタバレになるというジレンマにより、既読者の皆がじたばたしながら「読んで!!」と訴えている作品です。


 私はTwitterとかでこの作品のオススメを何度も見かけて、多くの人々がこんなに高テンションで熱く薦めるのだから絶対面白いはず、と全巻まとめて購入したものの、いざ読むまでに結構時間がかかりました。なぜかというと。著者の前作「SKET DANCE」、ドタバタギャグものに見せかけて設定が結構重めで凝ってたんですよね。それが印象に残っていたので、5巻でまとまるSFで冒険でミステリでサスペンス……というと重いのかなやっぱり……というのが躊躇のもとでした。

 その他に、表紙の宇宙服がだいぶSFSFしているので、これはSF設定とか頭にしっかり入れながら読むやつかな、気合が必要かな……と思ってしまったというのもある。

 (あともうこれは完全に個人的な濡れ衣なんだけど、宇宙漂流青少年ものということで「無限のリヴァイアス」みたいなやつだったらどうしようというトラウマが甦ったのもありますが、当然ぜんっぜんちがいました)

 というわけで今回は、この「重いんじゃない?」「SFむずかしくない?」という未読者がひっかかりそうなところを否定し、それによりオススメレビューと代えさせていただきます。さすればネタバレにはなるまい。


 まずはストーリーのさわりをざっと。

 数光年先の宇宙ならひょいっと数時間で行ける宇宙船があるくらいの未来ワールド。8人の高校生が自然豊かな観光惑星にキャンプの課題に向かいます。課題内容は、10歳の女の子を連れた状態でのキャンプ生活5日間をクリアすること。しかしキャンプ地に到着した途端、謎の光に襲われて突如宇宙空間に飛ばされる9人。近くにあった宇宙船にかろうじて乗り込んだものの、どうやら5千光年以上遠くに来てしまっていると判明。子どもたちだけでどうにかこうにか帰るための旅をはじめる……という宇宙漂流記です。

 がっつり未来でがっつり宇宙ですが、SFむずかしくなかったです。大丈夫。どんな感じなのかは絵(上手い)を見てればわかるというか、私達がこどものころに親しんだ「なんかすごい未来」が舞台になってる感じです。現代にはない技術と道具が出てくるけど、それらへの理解は必要ありません。初心者にもやさしい(優しい・易しい)内容です。

 学術的に語られている様々な生物環境知識・宇宙知識については、登場人物が学習漫画のように解説してくれるので、生物とか物理とかよくわかんなくても「そうなのかー」ってなる。むしろ知識小ネタとして面白い。大丈夫。かといって、そういうパートが多いってこともなく、冒険譚を楽しむ妨げにはなりません。

 そしてコメディベースのそれらを楽しく読んでいるうちに、大きな謎に引き込まれていく……という構成になっているので、読み始めちゃえば思った以上にすんなり世界に入っていけると思います。


 そしてもうひとつ否定したい「重さ」についてですが。

 ……まぁ重いは重いんですよね……設定はね……。なので完全否定は出来ない。SKET DANCEくらいの重さは十分あるんだ。

 でも! でもね! 救いがありすぎるほどにある! 熱い! めっちゃ大丈夫!

 ……そうだよねSKET DANCEだってそういえばそうだった。みんな未来を見つめてしっかり立ち上がる子たちだった。ということを、救いに救われてようやく思い出しました。この作者の描く重さは大丈夫なんだった。重さは熱さであり強さなんだった。

 ネタバレが出来ないのでこういう感じの表現になりますが、登場人物たちは誰も彼も濃く熱く、読み応えがありすぎるほどにあり、そして作者は読者の素直な愛情にガッツリこたえてくれる、そんな少年漫画パワー炸裂な重さですので大丈夫です。

 そしてまぁこれは王道展開でネタバレにならないと思うので言いますが、最初っから重くはないです。そして5巻しかないので、当然ですが重さが延々ひきずられることはないです。大丈夫です。さらに言えば、前向きで元気な子たちが本当に明るいので、読者もにっこりになります。大丈夫です。

 大丈夫大丈夫言い過ぎですが、「重いの苦手」「難しいの苦手」で漫画読みにしてはかなり弱い私が「なーんだ大丈夫だったむしろめっちゃおもしろかった!!!!!」ってなった読後のエウレカと嬉しさが込められている「大丈夫」ですので。大丈夫です。


 5巻しかないから読みやすい、という点を今まで利点として強調してきましたが「5巻しかないならそんなすごい話じゃないんじゃ?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんね。それも否定しておきたい部分です。

 ヴィジュアル面でいうと、見せゴマ見開きはこってり熱いですが、基本的に見せ場以外は1ページあたりのコマ数が少なくはない感じ。ページが濃いし、絵もセリフも情報量が多いので、1冊読むのにそこそこ時間がかかります。(ジャンプ系って意外にコマ濃いのあるよね。ワートリとか) でも全然窮屈じゃないし、迫力のある魅力的な画面がめっちゃ多いので「読まされてる」感はないはず。

 そして内容がまったく中だるみがない。5冊という長さの中できっちり構成が行われていて、描く部分の取捨選択が出来すぎています。5冊の中であんなに壮大でドラマティックな冒険が繰り広げられたのか……と読み終わった後にびっくりしました。この作品一番のミステリポイントはこの圧縮が見えない圧縮っぷりかもしれない。ギャグとかコメディとかゆるゆる日常パートたくさんあった気がするのに……9人全員いろいろなエピソードでがっつり盛り上がったのに……でも5冊。すっごい。


 キャラクターは、メインの9人とも強い個性があってどったんばったんしっちゃかめっちゃか楽しいやつです。15少年分のキャラが最初に考えられていたのを数人まとめた、ということのようなので、ベースが濃いです。そして作者の愛を感じる描写が多い。

 ……そして……そしてキャラの魅力をおおまかにぼかして書こうかと思っていろいろ今書いたんですが「あっこれぜんぶ伏線だ……」ってなったので全部消しました。もうなにも書けない……。むずかしい。

 とりあえず、読み進めると全員好きになっちゃうよきっと! みんないい子でみんなかわいい高校生だから! と純粋にキラキラした眼で訴えかけたいところです。好きになっちゃう。楽しくなっちゃう。もっと彼らが見たかったので、もうちょっと旅をしててほしかったくらいだ。いや、しっかりした構成でがっちり完結して本当に素晴らしいからいいんだけど。


 よし、ネタバレしてないね。うん。大丈夫しか言ってない記事になってしまい、面白さを伝えるのは無理でしたが、とにかく私の「読めよ面白いぞ!」という熱意は伝わったと思いたい。

 アニメ化にあたって作者先生は、前情報なしで原作読まずにアニメを見ることも奨めてらっしゃいます。漫画よりアニメのが脳に入りやすい、という人はそれもいいかも(でも見終わってから単行本も買おうね!)。

 でも……ネタバレ一切なしで数ヶ月アニメ見るの、この情報社会では結構むずかしいんじゃね……? というきもちでいるので……ネタバレくらう前にいそいで読む、というのもおすすめしたいです。


 内容の性質上、これは本当に一気読みをオススメします。5冊だし。いけるいける。半日で多分いける。ちょちょいと全巻買って、ガッといこう、ガッと。


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